産業色彩技術協会

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成り行きが注目される色彩商標

色彩商標についてはこれまでのコラムでも触れているのですが、2015年4月、ブランドの新たな権利として、メーカーや製品の「色彩」の商標や「位置」、ロゴマークの独自な「動き」や「ホログラム」、企業や製品を連想できる「音」、といった五つの商標が保護の対象になりました。

この中で、「動き」や「ホログラム」、「音」といった商標は、一部のメーカーに限られたものかもしれません。
例えば音商標。去る10月27日、出願されていた音商標のうち、いくつかが初登録となり、発表されました。そのほとんどが、TVCMなどで使われるサウンドロゴです。「ふじっこ~のおま~めさんッ♪」「ブルーッレット、おくだけ♪」「ファイトォ~!イッパァ~ツ!」など、TVやラジオのCMの中で印象的な歌やセリフとして流れる、社名や製品名などです。参考までに、経済産業省から発表された登録情報を御覧ください。日本中のほとんどの方が、一度は聞いたことがあるものが多いですね。
しかしこれらは、プロのクリエイターによる“作品”でもあります。ですから、ほとんどの中小企業さんでは、出願したい音商標を作っていないし、今後作る(持つ)こともないだろう、と考えているかもしれません。

イメージしかし、色彩商標は、様子が大きく異なります。どんな小規模の事業者、あるいは個人ですら、関わる可能性があるのです。実は、前述の10月27日の「新しいタイプの商標の登録の審査結果」で、5つの商標の中で一番出願件数の多かった「色彩商標」から、1つも登録査定されませんでした。色彩商標だけが、1件の登録もないのです。
これは、出願中の内容をよく見ると、その理由が垣間見える気がします。



イメージその理由を解説してみましょう。例えば、あるスーパーマーケットのロゴカラーとして、赤色が色彩商標として認められたとしましょう。(実際の出願の際には「赤」ではなく、数値化された色データも添えます)。すると、それと同じ色、または似た色を、看板やロゴ、制服などに既に使用していた別のスーパーが皆、使用できなくなる可能性を持っているのです。スーパーマーケットという業態は、小さな事業者を含めれば全国に非常にたくさん存在しています。特許庁がどのような登録査定を行うのか、そして、前述のような例でもしも登録された場合、その色彩商標を保有している企業がどのように対応するのか、非常に気になるところです。
実は現在、出願中の案件の中にも、同じ役務区分(えきむくぶん:商標出願の際に指定するその商標を利用する範囲のこと)に対し、非常によく似た色で出願されているものが、複数件あります。これらはいずれも、大手企業vs大手企業です。しかし一度登録されると、大小に関わらず同業者すべてに関係してくる問題なのです。ですから、特許庁はどのような判断を下すのか、非常に難しい対応を迫られていると思います。

なになに?「私は企業経営者ではないし、お店の営業もしていない」って? それでは別の例を紹介しましょう。
イメージ「デジタルデータのインターネット上での取引サービス」について青色の出願が登録されたとしたらどうでしょう。昨今、人気があると言う、自作の漫画販売のほか、自作の小説や音楽、イラストなどのネット販売についても、ある日を境にに、WEBサイトや販売物のパッケージなどで、その青色を使用できなくなる可能性がある、ということなのです。
いかがでしょう? 少し身近に感じていただけたでしょうか?

色彩を含め商標権を取得していなければ、類似した商標を他人に使用されても対抗できる可能性が少ない。または、期せずして他人の登録商標を使用した場合、損害賠償を請求されるだけならまだよいほう。今の現代、もしも企業に悪いイメージがついてしまうと、多方面で事業に悪影響を与え、会社の存続自体が怪しくなる…、そんな状況は、今現在も実際に起きていることだからです。

 さあ、今まで、色を知財として意識していなかった私達ですが、既に、欧米では認知されているというのですから、乗り遅れるわけにはいきません。皆さん、これから色は大事です。私たちの事業の周りにある色を見直しましょう。今まで、特に気にしなかった色や色彩が、知的財産権になると思えば、それこそ目の色を変えなくてはいけません。そうして、場合によっては「お色直し」も必要です。そう、これからの知財には「色仕掛け」が必要になるというお話。あ、色仕掛けと言えば、小柳技術士のコラムタイトルでしたね。

2015.10.09

多喜義彦のコラム

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