産業色彩技術協会

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経営にデザインと色を

イメージ J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)という、特許庁が管理するWEBサイトをご存知でしょうか?
ここには、現在出願されている色彩商標がすべて掲載されており、誰でも閲覧することができます。2015年10月現在、400を越える「色彩のみからなる商標」が、色見本の画像とともに、ズラリと掲載されています。郵便局(日本郵政)は赤を、ファナックは黄色を、バスクリンは緑・・・などなど、企業のロゴカラーや、商品パッケージの色がズラリ並んでおり、順番に見ているだけでも非常に面白いものです。

ずっと見ていると、いくつかの面白いことに気が付きます。
ある大手サービス業の会社は、7件を出願しています。この中にはおなじみの同社のロゴカラーが1件。しかしその他は、どこに使用しているのかいまひとつピンとこない色ばかりでした。店頭や、企業のオフィシャルサイトでも見当たりません。
一方、多くのヒット商品を抱える某大手メーカーは6件を出願。同社では多種多様な商品の広告をたくさん行っていますが、出願された中には新聞やTVの広告ではあまり見ないニッチで専門的な商品もありました。もっと多くの人が日常的に使う商品がたくさんあるのに、これらは現在出願されていないのです。
私はこの色彩商標の出願傾向に、企業の戦略が見えるように思います。すなわち、経営やマーケティングの戦略にリンクして、出願が練られているように思われるのです。

「デザイン経営」という言葉が、近年非常に注目されるようになりました。MacやiPhoneで有名なApple社によって一躍脚光を浴び、近頃では大学や社会人スクールでもカリキュラムに組むところがあるほどです。経営や事業における「デザイン」は、いまや中心的な役割を担うと考えられるようになり、そのデザインの中で「色」が非常に重要であることは言うまでもありません。
前述した大手サービス会社は今後、出願した色を看板に事業のマーケティングの強化か、または新事業の象徴的な色とするのかもしれません。後者の大手メーカーは、商品ライフサイクルの早い商品、一般的な商品はさておき、出願したニッチな分野を今後の重要な領域と位置づけ、商品のブランドを「色」とともに構築しようとしている、とは考えられないでしょうか。

イメージ何れにしても、企業の担当者や関係者は、この色彩商標の登録にあたり、事業の戦略を考えに考え抜いたことでしょう。
商品やサービスには、売れるものと売れないものがあり、よく見ているとそこには明確な訳(理由)があります。ちゃんとした訳で成り立ち、訳が作用し、訳があって決まるのです。
情報や商品が溢れる中で、現在の経営やマーケティングは、この「訳」を企画し、作り、練り上げる必要があります。それは、多様化・複雑化させることではなく、余分なものを極力削ぎ落としてシンプルにし、本質をズバリ表現することが重要です。その意味で、デザインには理由があり、そして、その色を使う理由もある。その理由を保護するものが、色彩商標です。一度、J-PlatPatを眺めてみてください。企業の様々な思惑が垣間見えるところがあり面白いですよ。

2015.10.09

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