産業色彩技術協会

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商標出願は大局的に

日本でも色彩商標の出願・登録が可能となり、はや数ヶ月。特許や意匠、商標なども含めたこれら「知的財産権」を出願する時、とにかく数多く出願することが大切だと考えている人や企業がおられてビックリすることがあります。  何故、このように考えてしまうのでしょうか。 それは、知的財産権を、モノやサービスの周辺にある、「戦術的」な「道具」であると考えてしまうからではないかと思います。しかし、知的財産権は、「戦略的」な「経営資産」のひとつだと考えることも出来ます。「戦術か、戦略か」、「道具か資産か」、ここのところが曖昧になっているように思うのです。言うまでもなく、戦略とは戦術の数段上の”上位概念”で、大局的、そして全局面的に物事を思考・洞察して展開することです。また、資産とは長期に渡って持つもの、道具はどちらかと言えばその場しのぎです。色彩商標を、資産として考えるか、道具として使いたいのか、ここが大切なところです。出願の目的や狙いを明確にしているか否かが問題で、戦略を大局的に長期的に設定した上で、何のために出願するかを考えなければならないのです。 日本ではまだ登録に至っていない色彩商標ですが、海外では既に裁判になったような事例もあります。有名なものでは、「女性の靴のソール裏が赤」という商標について、争われたことがあるそうです。いずれも私は履いたことはありませんが(笑)、見たことはあります。“優雅な靴の美しさを引き立てるソール裏の赤”は、確かに非常に特徴的かつ独創的です。この時争った2社はいずれも、靴そのものの素晴らしいデザインに加え、既に強固なブランド力がありました。しかしこれらの企業がベンチャー、またはスタートアップの企業だったとしたらどうでしょうか。類似品、また類似ロゴでの模倣品が出回れば、大きな販売機会の損失となり、場合によってはブランド力の失墜、さらにはせっかく育てているそれが横取りされるなど、それこそ企業の生死を決め兼ねない事態も考えられます。 このように、色彩商標を含む「商標」というものは、企業のブランド価値や商品力を担保し、販売力を押し上げる事すらできてしまう、企業のあり方や経営に直結するものです。どの範囲でどのようにこの商標を利用するのかを考えることは、同時に、技術や商品をどのように成長・発展させるのかを、突き詰めて計画・構築するということ。すなわち戦略的な視点で臨むことなのです。例えば、日本郵政の赤、ファナックの黄、セブンイレブンの橙・緑・赤・・・。セブンイレブンに関しては、元々子会社だったコンビニエンスストアのカラーリングが、持株会社のロゴカラーとして昇格、元親会社であるイトーヨーカ堂を飛び越えてシンボルカラーとなっています。一度築いた技術力、ブランド力や商品力と、これを象徴する「色彩」が結びつけば、その信頼は永遠に続き、そしてまさに資産として大きく展開するのですね。  ちなみに、円谷プロダクションも赤×グレーの組み合わせを色彩商標として出願しています。ウルトラマンも永遠の資産です!

2015.08.24

多喜義彦のコラム

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