産業色彩技術協会

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はなのいろは・・・


~花の色は 移りにけりな いたずらに 我が身世にふる ながめせしまに~

 ご存知、小野小町の有名な和歌である。小野小町は在原業平のことが好きだったが、業平はそのことに気づかなかった。この和歌はそのことを嘆いてつくった和歌だと言われている。花を喩えに、恋心を巧みに表現している。 花の色はうつろってしまった、ただいたずらに、この身が世を過ごす長雨に物思いにふけっている間に、(わたしの美しさも、その花の色のように、こんなにも褪せてしまいました)  この和歌は、文学的にもその評価は高いが、絶世の美人が「花の色の退色」と「人の老い」を詠んだ和歌として、科学的にも大変興味深い。  桜の花びらの色素は、アントシアニンと呼ばれる花や野菜、果実などにも含まれる植物界に広く存在する植物色素である。


フラボノイドの一種で、抗酸化物質として知られる。pH により色調は変化し酸性条件下で赤色、アルカリ性条件下で青色となる。アントシアニンが他の植物色素と際立って異なるのは、連続的に幅広い色を示すことである。カロチノイド、クロロフィルなどと比べ、橙色から赤、紫、青色までの多彩な色を持ち、波長にして450 nmから650 nm 近くまでの可視光を吸収する。これは、アントシアニンの発色団である母核アントシアニ ジンの構造がpHに応じて変化するためである。  色の退色を顔料の構造から考えてみると、藍と墨の顔料(主にフタロシアニンブルーとカーボンブラック)を構成する化合物は結合が強く、太陽光に含まれる紫外線によって破壊されることはほとんどない。一方、黄と紅の顔料(主にジスアゾイエローとカーミン6B)は、化合物の結合が弱いため、紫外線の下に長時間晒すと、化合物の結合が破壊され、退色する。


 人間も加齢や光により老化する。加齢や光老化(紫外線老化)による皮膚の老化反応はコラーゲンやケラチンといった「皮膚構成タンパク質」の酸化劣化とそれらを作り出す「繊維芽細胞やケラチン生成細胞の酸化劣化」が大きな原因である。細胞内水分量も経時的に減少する。
 「ゴンドラの唄」の最初のフレーズ「命短し 恋せよ 乙女」も興味深い。

2015.10.19

川島徳道のコラム

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