産業色彩技術協会

日本語 / English
お問合せ
一般社団法人産業色彩技術協会は、塗料塗装業界の進歩と発展を目指します。
イメージ

色と文化と、文化と色と。

 化学(chemistry)の由来は、錬金術(alchemy)である。錬金術のテーマは「永遠」である。即ち、卑金属を永久に錆びない金に変えたり、人間を不老不死にしたりすることを目的としている。その目的は達成されていないものの、その願望は今にも通じている。

 古代の黄色のイメージは、黄金の永遠や不死性を表し、黄色の光とともに人々を魅了してきた。加えて穀物の色や大地の色と結びつき、さらに意味が深まった。
 中国の最初の皇帝が「黄帝」であり、文化の発祥地が「黄土高原」、「黄河」である。黄色は古くから中国伝統文化とは切り離せない縁がある。五行学説を星占い術の五方観念と結び合わせて、黄色が土で中央を、青が木で東を、赤が火で南を、白が金で西を、黒が水で北を象徴することに定めた。これは日本でも、四房(大相撲の吊り屋根の四隅に垂れ下がっている房)として、よく見ることができる。また、黄色が五行の中央に位置することから、中和の色でもあり、諸色の最上、即ち最も尊い色として、天子の服の色に定めた。執政の大臣は「金印紫綬」、即ち、黄金色の印章・紫色の印綬であるが、これらを所有する者は皇帝の次におかれた。そこで、黄色および紫色が中国伝統文化の中で重要な位置に定められた。明・清の時代になると、黄色は皇室専用の色となり、民衆が黄色の服を身につけることは禁止された。
 しかしながら、現在の中国では、黄色は「黄色映像(猥褻ビデオ)」「掃黄(腐敗、猥褻なものを一掃すること)」等の様に使用されていることから、あまり良い意味で使用されていない。

 最近、中国発世界株安と言うニュースが飛び交っている。中国では、これまで、株価の大幅値上がりで、大金をもうけた人の話を良く聞いた。そこで、誰もが株取引を始め、株取引の時間は人通りが少なくなるともいわれている。コンピュータの前に座り、トイレにも行けず、具合いが悪くなり、医者に行ったら、医者も株価の動向を見ながら診察していたという笑い話もある。コンピュータ上で、株価が値上がりしたものは「赤(紅色)」くなり、値下がりしたものは「緑色」になる。従って、「赤(紅色)」は好きだが、「緑色」は嫌いということになる。赤い下着も良く売れる。「赤(紅色)」は魔除けの意味も有り、結婚式や開店開業のテーマカラーは「赤(紅色)」である。一方、中国文化で、「緑の帽子」をかぶるということは不貞の妻を持った夫の意味で、中国で緑の帽子をかぶる男性はほとんど見かけない。一方、西洋では、3月17日は聖パトリックの祝日で、この日にはアイルランドの象徴である緑色の帽子をかぶって祝い合う。全て緑一色で、ビールまでもが「緑色」となるのには驚く。  個人的な自己主張としての色の選択は自由であるが、文化的な色の意味を知ることもまた重要なことである。

2015.08.31

川島徳道のコラム

ページのトップへ戻る