産業色彩技術協会

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楳図かずお訴訟にみる塗装と景観利益 「#3 塗工と景観」 

 観光地の景観のように、国内外を問わず住民が観光資源を守るため景観維持に努めているケースは少なくありません。そのために税金が使われる場合すらあります。 また、観光地の景観や歴史的価値のある景観ではない一般の住宅地でも、住みよい地域を目指して自治体が景観地区に指定し景観を守ろうとするケースがあります。

 先日、軽井沢へお邪魔したとき、セブンイレブンの看板の色が、通常のオレンジ、赤、緑の3色ではなく、全体的に地味でおだやかな色合いで構成されており、まちの雰囲気に溶け込んでいたことに感心しました。これは、長野県「屋外広告物条例」や「軽井沢町の自然保護のための土地利用行為の手続等に関する条例」によって、屋外広告物の色彩について規制がなされているからです。 また、最近では、企業が自主的に景観に配慮するケースも増えてきております。 法による罰則がない場合であっても、「コンプライアンス(法令遵守)」を重視して地域に溶け込む企業姿勢をアピールする、そんな時代になってきたのでしょう。

以上のように、「景観」への配慮は、我々の社会において重要な考慮要素の一つとなってきていますが、その中で、塗装業者が担う役割は大きいと考えます。塗料と最も身近なところにいるプロフェッショナルだからこそ、提案できることがあるのではないでしょうか。 その「まち」を知り尽くしているからこそできる、色の提案。まさに今、「まちの塗装屋さん」が求められる時代だと感じる次第です。

ところで、話は大きく戻りますが、楳図かずお邸。このコラムを書くにあたり、現場へ行ってまいりました。感想は、「まち並みに溶け込んだ、面白い建物」です。 問題の「紅白」は、けばけばしく自己主張の強いヴィヴィッド調ではなく落ち着いた赤色と清潔感のある白。玄関の深みのある緑色があいまって、全体として非常にセンスのよい印象を覚えました。 確かに変わった建物ではありましたが、前述の色合いの妙もあり、周りの風景に溶け込んでいるように見えました。撮影をしていると、高齢のご婦人がやってきて、楳図邸をひとしきり見上げた後、「一昔前に騒ぎにはなったけど、騒ぐほどのもんじゃないよね」と一言。いやぁ、やはり、現場百見、百聞は一見にしかず、です。

2015.10.05

五十嵐丈博のコラム

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